症状
- 移動の数日後から、和音やオクターブが濁ったり「揺れて」聞こえたりする
- 一部の音がほかよりずっと大きくずれている
- ユニゾン(1音の2〜3本の弦)同士がうなる
- 最初の2週間ほどは音程が変わり続ける
考えられる原因
新しい環境
新しい部屋は湿度も温度も違います。響板が湿気を吸ったり失ったりしてクラウン(ふくらみ)が変わり、鍵盤全体で音程が不均一に上がったり下がったりします。
運搬中の温度変化
暑いトラックや寒い階段に何時間もいると、弦や鉄骨が膨張・収縮します。これだけで調律が台無しになることはまれですが、ずれを大きくします。
衝撃と傾き
ピアノを横倒しにしたり、強く落としたりすると、チューニングピンやアクションが乱れることがあります。ピン板が摩耗した古いピアノでは特にそうです。
もともと調律の時期を過ぎていた
移動前から長い間調律していなかった場合、移動によって既存の問題が目立っただけということもあります。
自分で安全に確認できること
- 1ピアノは内壁沿いに置き、窓、エアコンの吹き出し口、暖房器具、直射日光から離します。
- 2ピアノの近くに湿度計を置き、相対湿度40〜50%で安定させることを目指します。
- 3新しい部屋に楽器がなじむよう、調律の予約まで2〜4週間ほど待ちます。
- 4すべての鍵盤をそっと弾き、引っかかる、音が出ない、感触が違う鍵盤を記録して、技術者に伝えます。
- 5ピアノが水平にしっかり立っているか、ペダルがきちんと効くかを確認します。
やってはいけないこと
- 移動の翌日に調律しないでください。木材がまだ環境に合わせている間は、調律が保ちません。
- ペンチやレンチでチューニングピンを自分で回そうとしないでください。
- 早く「乾かそう」として、エアコンやヒーターの横にピアノを置かないでください。
自分でできる対処と技術者に任せること
たいてい自分で対処できる
- 吹き出し口や日光から離れた安定した場所を選ぶ
- 湿度計で湿度を確認する
- 引っかかる鍵盤や音の出ない鍵盤を記録する
- ピアノが環境になじむのを待つ
技術者に依頼する
- ピアノが落ち着いてからの調律
- A440より大きく下がった場合のピッチ上げ
- 運搬中に緩んだ鍵盤やペダルの修理
- 調律が保たない場合のピン板の点検
技術者が行う作業
ピアノが落ち着いた後、技術者は音程がどれだけずれたかを測定します。通常の調律は1〜1.5時間ほどです。A440より大きく下がっている場合は、まずピッチ上げが必要で、数週間後に2回目の仕上げ調律をすることもあります。移動で狂った鍵盤やペダルも、同じ訪問で調整します。
ピアノの弦にはおよそ18〜20トンの張力がかかっています。アクションを開ける、チューニングピンを回す、弦の近くで作業するといった対処が必要な場合は、技術者に任せてください。